事業用資産と紐付き債務
Q 賃貸不動産とその賃貸不動産に係る借入金を別の相続人が相続することは望ましいでしょうか。
A 借入金の支払利息が不動産所得の計算上、必要経費に算入されない場合があります。
⑴ 相続後の不動産所における借入金利子の経費算入について
借入金を承継する場合には、原則として返済能力の有無等を検討する必要がありますが、賃貸不動産と紐付きにある借入金を別の相続人が各々相続した場合には、その後の不動産所得の計算において借入金利子の経費算入に影響を及ぼす場合があります。
具体的には下記⑵により、貸付不動産及び紐付きである借入金は、一の相続人が一括して又は複数の相続人が同一の持分にて相続しなければ、相続後の不動産所得の計算上、借入金利子の一部について必要経費として算入することができません。
⑵ 被相続人が借入金により取得した固定資産を相続により取得した場合
被相続人が借入金により取得した固定資産(既に被相続人が使用していたものを除く)を相続人が相続又は遺贈により取得した場合において、当該相続人がその借入金を承継したときは、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額に相当する借入金は、当該相続人が相続開始の日において、当該固定資産の取得のために借り入れたものとして取り扱います(所得税基本通達38-8の9)。
・当該相続人が承継した借入金の額
・被相続人が借り入れた資金のうち相続開始の日における残存額×当該固定資産のうち当該相続人が取得した部分の相続開始の日における価額/当該固定資産の相続開始の日における価額
Point
賃貸不動産及び紐付きである借入金は、相続税だけでなくその後の所得税も考慮して分割を決めましょう。