どのくらいの割合で相続税調査が行われているのでしょうか?

(1) 相続税の税務調査事績

相続税の税務調査件数等は国税庁より公表されております。

・相続税の調査事績(出所:国税庁ホームページ「令和4事務年度における相続税の調査の状況について」)

項目 令和3事務年度 令和4事務年度
相続税申告数(前年の被相続人数) 134,275件 150,858件
実地調査件数 6,317件 8,196件
調査割合 (②/①) 4.2% 5.4%
申告漏れ等の非違件数 5,532件 7,036件
非違割合 (④/②) 87.6% 85.8%
重加算税賦課件数 858件 1,043件
重加算税賦課割合 (⑥/④) 15.5% 14.8%
申告漏れ課税価格 2,230億円 2,630億円
⑧ のうち重加算税賦課対象 340億円 388億円
追徴税額 本税 486億円 582億円
加算税 74億円 87億円
合計 560億円 669億円
実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格 (⑧/②) 3,530万円 3,209万円
追徴税額 (⑫/②) 886万円 816万円

・申告漏れ相続財産の金額(出所:国税庁ホームページ「令和4事務年度における相続税の調査の状況について」)

  令和3事務年度 令和4事務年度
金額 割合 金額 割合
現金・預貯金等 705億円 32.2% 815億円 31.4%
有価証券 274億円 12.5% 309億円 12.0%
土地 257億円 11.8% 336億円 13.0%
家屋 41億円 1.9% 67億円 2.6%
その他 910億円 41.6% 1,062億円 41.0%

 統計情報より相続税申告数の約1割に対し税務調査が実施されていることが分かります。また税務調査が実施されれば、その約8割は申告漏れ等の指摘を受ける結果となっております。なお申告漏れを指摘される財産のうち約4割は、名義預金等の現預金となっております。

(2) 税務調査となりやすい申告内容

税務官署内では実地調査に先立ち調査対象の選定(準備調査)がおこなわれます。具体的に調査対象となりやすい申告内容は次のとおりです。

  • 金融機関の残高照会・取引履歴照会の内容と申告内容に乖離がある場合
  • 固定資産税課税明細書と異なる申告内容である場合
  • 相続直前におこなった不動産売却代金が申告に反映されていない場合
  • 海外に資産を所有されている場合
  • 所得に比し申告財産が著しく少ない場合又は相続人の所有財産が著しく多い場合
  • 債務に見合う資産が申告されていない場合

(3) 税務調査以外の方法

国税庁は自発的な適正申告を確保するために実地調査以外の多様な方法を実施しております。具体的には次のような方法がおこなわれております。

  • お尋ね等による書面照会
  • 実地に赴かない電話照会や来署依頼による調査(呼出調査)
  • 書面添付制度による意見聴取(税理士法第33条の2)