相続税申告の留意事項

Q 相続税申告書作成に関して気をつけることを教えてください。

A 下記のような事項があります。

⑴取得財産について(【】は確認資料)

土地・家屋等

・未登記物件、共有物件、先代名義の物件等はあるか【固定資産税評価証明書、登記事項証明書等】

・被相続人の住所地以外の市区町村に所在する不動産はないか【固定資産税評価証明書、登記事項証明書等】

・借地権や耕作権はないか【土地の賃貸借契約書等】

事業(農業)用財産

・事業用財産又は農業用財産はないか【青色決算書又は収支内訳書】

有価証券

・株式、出資、公社債、貸付信託、証券投資信託の受益証券等はないか【証券又は預り証等】

・名義は異なるが、被相続人に帰属するものはないか【証券又は預り証等】

・増資等による株式の増加分や端株はないか【配当金支払通知書等】

・株式の割当てを受ける権利や配当期待権等はないか【配当金支払通知書等】

現金預貯金

・相続開始日現在の残高で計上しているか【残高証明書】

・名義は異なるが、被相続人に帰属するものはないか【残高証明書】

・定期性預貯金の既経過利子は解約するとした場合の利率とし、源泉所得税相当額を控除して計算したか【既経過利子の計算明細書】

・相続開始直前に、被相続人の預金口座等から出金された現金について、その状況を確認したか【通帳等】

・預貯金や現金等の増減について、相続開始前5年間程度の期間における入出金を確認したか【通帳等】

家庭用財産

・家庭用財産はないか

その他の財産

・生命保険金、死亡退職金はないか【保険証券、退職金の支払調書等】

・生命保険契約、損害保険契約に関する権利はないか【保険証券等】

・契約者名が家族名義等で、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約はないか【保険証券等】

・親族や同族法人に対する貸付金等はないか【金銭消費貸借契約書等】

・庭園設備、自動車等はないか

・書画、骨董、貴金属等はないか

・国外にある預貯金や不動産等はないか【預貯金通帳、不動産売買契約書等】

・未収給与、未収地代、家賃等はないか【賃貸借契約書、領収書等】

・修繕等について、資本的支出に当たるものはないか【工事明細、領収書等】

⑵債務・葬式費用について

債務

・被相続人の住宅ローンのうち、団体信用生命保険に加入していたことにより返済する必要がなくなった金額を債務として控除していないか【住宅ローンの設定契約書等】

・相続放棄した相続人が引き継いだ債務を債務控除していないか【相続放棄申述受理証明書】

葬式費用

・法要や香典返しに要した費用が含まれていないか【領収書等】

・墓石や仏壇の購入費用が含まれていないか【領収書等】

⑶その他の事項について

相続時精算課税

・被相続人から、相続時精算課税の適用を受けて受贈した財産はないか【贈与契約書、贈与税申告書】

暦年課税

・相続開始前3年以内に贈与を受けた財産(贈与税の基礎控除額以下の価額の受贈財産を含む)は加算しているか【贈与契約書、贈与税申告書】

不動産評価

・貸家(独立家屋)の中に、空き家となっているものはないか【不動産賃貸借契約書等】

・親族等に対して、使用貸借により貸し付けている土地等は自用地評価しているか【不動産賃貸借契約書等】

税額計算

・実子がいるにもかかわらず、養子を2人以上、法定相続人の数に加算していないか【被相続人及び相続人の戸籍の謄本等】

税額加算

・相続又は遺贈により財産を取得した者が孫養子(代襲相続人を除く)や兄弟姉妹、受遺者等の場合は、税額の2割加算をしているか【戸籍の謄本等、遺言書等】

Point

 申告書作成のポイントを把握しておきましょう。