準確定申告の留意事項

Q 準確定申告で気をつけることは何ですか?

A 個人事業税の見込控除、死亡後支給の給与の取扱い、控除対象配偶者等の判定に気をつけましょう。

⑴ 個人事業税の見込控除

 事業を廃止した後においてその事業に係る費用又は損失でその事業を廃止しなかったとしたならばその年分以後に算入される必要経費があるときは、その廃止した日の属する年分の必要経費に算入することができます。

 しかし、必要経費に算入する国税及び地方税については、原則として死亡時までに納付すべきことが具体的に確定したものに限りますが(所得税基本通達37-6)、事業税については課税見込額を事業廃止年分の必要経費に算入することができます(所得税基本通達37-7)。

 この場合における事業税の課税見込額は、下記の算式により計算した金額となります。

 (A±B)×R/(1+R)

  A・・・事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額

  B・・・事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額

  R・・・事業税の税率

⑵ 死亡後に支給された給与等の取扱い

 所得税は、相続・遺贈又は個人からの贈与により取得するものには課されません。また死亡した者に係る給与・公的年金・退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち、相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税されません(所得税基本通達9-17)。

 したがって、被相続人の給与で死亡後に支給期が到来するものは、所得税において源泉徴収不要であり、また相続税において本来の相続財産(未収入金)として相続税の課税対象となります。

⑶ 控除対象配偶者、控除対象扶養親族の判定

 年の中途において死亡した居住者の配偶者その他の親族がその居住者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当するかどうかの判定は、次によります(所得税基本通達85-1)。

・生計を一にしていたか又は親族関係にあったか否かは、その死亡時の現況により判定する

・親族等が同一生計配偶者若しくは配偶者又は扶養親族に該当するかは、その死亡時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの当該親族等の合計所得金額により判定する

Point

 通常の申告とは異なる準確定申告での取扱いとなるものを知っておきましょう。