養子縁組のメリットとは

(1) 養子縁組による相続税への影響

養子縁組は血縁による親子関係がない場合に法的な親子関係を生じさせる制度です。この関係は縁組により生じ離縁により消滅します。

相ところで相続税は次の3項目について法定相続人数を基に算出します。

  1. 相続税の基礎控除額
  2. 生命保険金(および死亡退職金)の非課税限度額
  3. 相続税の総額の計算

養子縁組をしている場合にこれらを計算するときには、被相続人の養子の数は次の人数まで法定相続人数に含めることができます。

  1. 被相続人に実子がいる場合   1人まで
  2. 被相続人に実子がいない場合  2人まで

ただし、法定相続人数に養子の数を含めることで相続税負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、その原因となる養子の数は上記①又は②の養子の数に含めることはできません(相続税法第63条)。

なお次の者は実子とみなされます(全て法定相続人数に含まれます)。

  1. 特別養子縁組により養子となった者
  2. 配偶者の実子で被相続人の養子となった者
  3. 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となった者で被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  4. 被相続人の実子、養子又は直系卑属が既に死亡し又は相続権を失ったため、その子等に代わって相続人となった直系卑属

(2) 孫養子の場合の留意事項

孫養子の場合には相続税額の2割加算の適用を受けるため、その部分において相続税額の負担が増します。しかし本来であれば親から子へ、そして子から孫へと2回の相続が必要となるところ、養子縁組をすることで1回の相続で孫への財産承継が可能となります。それゆえ1回分の相続税負担が軽減されるため、上記⑴の影響を含め養子縁組を利用した方が有利か否かを十分に検討する必要があります。