海外の財産も相続税の対象になるの?

(1) 国外財産が相続税の課税対象から外れる場合

原則として、国内財産も国外財産も相続税の対象です。しかし、次の場合には国外財産が相続税の課税対象から外れます。

  1. 相続人は日本国籍で国外に居住しており、被相続人・相続人ともに相続開始前5年以内に日本国内に住所を有していない場合
  2. 相続人は外国籍で、被相続人・相続人ともに相続開始時に日本国内に住所を有していない場合

(2) 国外財産等に関する制度

近年において取引の国際化が進み、現在は国外財産等について次のような制度があります。

① 国外財産調書制度

居住者(非永住者を除く)で、その年の12月31日においてその価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その国外財産の種類・数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(国外財産調書)をその年の翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出する必要があります。

② 国外送金等調書制度

国外への送金及び国外からの送金を受領した金額が100万円を超えるものについて、金融機関は税務署に法定の報告書(法定調書)を提出する必要があります。

③ 国外転出時課税制度

国外転出をする一定の居住者が1億円以上の有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引を所有等している場合には、国外転出の時にその対象資産について譲渡又は決済があったものとみなして対象資産の含み益に所得税が課税されます。

また1億円以上の有価証券等を所有等している方が国外に居住する親族等へ有価証券等の贈与等を行う場合も同様に、所得税の確定申告等の手続が必要となります。